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道具をそろえるワクワク感。抹茶セットを買ってみた

「おうちで抹茶を点てたい」と思ったものの、何が必要なのか分からず、まずはネットで情報収集を始めた。
“茶筅(ちゃせん)”に“茶碗”、それから“茶杓(ちゃしゃく)”。見るからに繊細な道具たちで、最初は正直、少し身構えてしまった。

「ちゃんと使いこなせるのかな…?」
「どうせすぐ飽きちゃうんじゃ…?」

でも、楽天やAmazonで「抹茶スターターセット」と検索してみると、意外と手頃な価格帯のものがたくさんあった。
レビューを読むと、自宅で抹茶を楽しみたい人たちが思っていた以上に多くて、ちょっと心強かった。

私が選んだのは、茶筅・茶碗・茶杓・抹茶の粉がセットになった、初心者向けのスターターキット。
デザインはシンプルで、茶碗の色も落ち着いたグレー系。あまり“和風”すぎず、部屋に馴染みそうだったのが決め手だった。

数日後、届いたダンボールを開けると、思っていた以上にしっかりした箱に収められた道具たち。
茶筅を手に取ると、見た目以上に軽くて、細い竹の一本一本が丁寧に割られているのが分かる。
茶碗も手のひらにしっくりなじむ、ぽってりとした質感で、ただの器とはどこか違う“空気”をまとっている感じ。

「おお…ちょっとテンション上がる。」

そして、パウチに入った抹茶の粉。開けた瞬間、ふわっと広がる香りに驚いた。
今までスーパーで買った抹茶ラテパウダーとはまったく違う、青々しくて清々しい香り。
この香りを、私は知らなかった。

いざ、初チャレンジ。
茶碗に抹茶を一杯(約2g)入れて、お湯を注ぐ。この時点ではまだ“ただの粉とお湯”。
そこに茶筅を持って、いざシャカシャカ。あれ?どうやって動かせばいいんだろう?

説明書には「M字を描くようにすばやく動かす」と書いてあるけど、手首がぎこちない。泡もあまり立たない。
「これで合ってるのかな…?」と不安になりつつも、なんとか“抹茶らしきもの”が完成。

ひとくちすすると…ん?苦い。でも、なんだかクセになる。

香りとともに口の中に広がる渋み。後味はすっきりしていて、ちょっとした苦味が心地いい。
コーヒーの苦味とはまったく違って、どこか体が「落ち着く〜」って言ってる感じがした。

「なるほど、これが“点てる”ってことなんだ。」

思ったより簡単。でも、すごく丁寧な時間だった。
お湯を沸かして、粉を入れて、茶筅で泡立てて、飲む。ただそれだけなのに、不思議と気持ちが整う。

茶道のような型や作法は全然知らない。でも、ちゃんと抹茶を“点てて飲む”という行為だけで、いつもの午後がちょっと特別に感じられた。

今まではペットボトルの緑茶や抹茶味スイーツでしか知らなかった“抹茶”が、ほんの少し近くなった気がする。